Japanese Novel
日本語 | English
書いて、確かめて、一冊にする。すべて縦書きのまま。

「PDF に出力」の結果をそのまま画像にしたものです(夏目漱石『吾輩は猫である』・青空文庫より)
「Japanese Novel」は、無料のエディター「Visual Studio Code(VS Code)」を日本語小説の執筆環境に変える拡張機能です。書いた文章はすぐ隣に縦書きで表示され、章をまとめて HTML・PDF・テキストの「本」として出力できます。記法は青空文庫の注記そのまま。原稿はただのテキスト ファイルで、特別な形式に囲い込まれることはありません。
できること
- 縦書きプレビュー — 書きながら、組み上がった姿をすぐ隣で確認できます。
- 青空文庫の注記に対応 — ルビ・傍点・傍線・太字・斜体・縦中横・改ページなど。
- 本づくり — 章をまとめて、縦書きの HTML・印刷用の PDF・青空文庫形式のテキストに出力。
- 文章校正 — 目に見えない不正な文字や、投稿前の体裁くずれに気づけます。
- 登場人物と造語のハイライト — 人物の名前や造語が、地の文で目立つ表示になります。

AI は使いません
小説の投稿や出版では、AI の利用を禁じる編集部や賞が少なくありません。この拡張機能は、執筆のための AI 機能を一切持ち込みません。.jpnov・.jpbook を開いている間は GitHub Copilot 拡張機能も既定で無効になり、入力補完はすべて AI ではない、ふつうのプログラムで動きます。
執筆は最初から最後まで、人間の手で。
はじめかた
パソコンに慣れていなくても大丈夫です。順番にどうぞ。
VS Code を入れる — 公式サイトから無料でダウンロードして、インストールします。
日本語表示にする — VS Code を起動したら、左端の四角いブロックのアイコン(拡張機能)をクリックし、検索欄に Japanese Language Pack と入力してインストール。案内に従って再起動すると、画面が日本語になります。
この拡張機能を入れる — 同じ検索欄に Japanese Novel と入力してインストールします。
小説のフォルダーを開く — 原稿を入れるフォルダーを作り、メニューの「ファイル」→「フォルダーを開く」で開きます。「このフォルダー内のファイルの作成者を信頼しますか?」と聞かれたら、「はい、作成者を信頼します」を選んでください。自分で作ったフォルダーなので心配ありません。
章を書く — 「ファイル」→「新しいテキスト ファイル」で書き始め、保存するときに 第一章.jpnov のように名前の末尾を .jpnov にします。この名前が「小説の章」の目印です。
縦書きで確かめる — .jpnov のファイルを開いた状態で、エディター右上の「プレビューを横に開く」アイコンを押すと、隣に縦書きの組み上がりが表示されます。
本のファイルを作る — 章がいくつかできたら、作品名.jpbook というファイルを作り、読む順に 1 行 1 ファイルで章の名前を書きます(パスは、開いているフォルダーを起点に数えます)。.jpbook 1 つが本 1 冊です。
第一章.jpnov
第二章.jpnov
最終章.jpnov
冒頭に --- で挟んだブロックを置くと、題名やヘッダー(ページ上部に入る巻名など)といったその本自身の情報も書けます(詳しくはページ番号とヘッダー)。
---
title: 作品名 第一巻
header: 作品名 一
---
第一章.jpnov
第二章.jpnov
最終章.jpnov
本にする — 左端のアクティビティ バーに現れる本のアイコン(小説)を開くと、「本の一覧」に今の .jpbook が並んでいます。チェックが入っているのを確かめて、一覧の右上の「PDF に出力」を押せば、フォルダー内の dist に印刷用の PDF ができあがります。

同じ流れは、「ようこそ」画面(メニューの「ヘルプ」→「ようこそ」)にあるガイド「小説をはじめる」でも案内しています。
書き方(青空文庫の注記)
本文はふつうに書くだけです。ルビや傍点を付けたいところにだけ、決まった書き方――青空文庫の注記――を添えます。青空文庫は日本語の電子テキストで長く使われてきた形式なので、原稿がこの拡張機能に縛られることはありません。
| やりたいこと |
書き方 |
| ルビを振る |
漢字《かんじ》 |
| ルビの範囲を指定する |
|お茶の間《おちゃのま》 |
| 左側にルビを振る |
英雄[#「英雄」の左に「ヒーロー」のルビ] |
| 傍点を打つ |
言葉[#「言葉」に傍点] |
| 傍線を引く |
言葉[#「言葉」に傍線] |
| 太字にする |
言葉[#「言葉」は太字] |
| 斜体にする |
言葉[#「言葉」は斜体] |
| 数字などを 1 マスに収める(縦中横) |
42[#「42」は縦中横] |
| 字下げする |
一般的には全角スペース、必要なら[#2字下げ](数字は全角で) |
| ページを改める |
[#改ページ](行の頭で) |
上の見本の原稿はこちらです。コピーしてそのまま試せます。
物語《ものがたり》が始まる。
|お茶の間《おちゃのま》へ届け。
覚悟[#「覚悟」に傍点]を決めた。
運命[#「運命」に波線]が動く。
英雄《えいゆう》[#「英雄」の左に「ヒーロー」のルビ]の登場。
第42[#「42」は縦中横]話、太字[#「太字」は太字]で。
「何だと!?」
覚えておくと便利なこと:
- 注記の
[#…] はすべて全角で書きます。半角の [#…] は効きません。
!? !! のような半角 2 文字の組は、注記を書かなくても自動で 1 マスに収まります(自動縦中横)。
- 見出しの記法はありません。章= 1 ファイルが区切りです。
- 対応していない注記はメモ扱いになり、出力には現れません。書きかけの注記(
] の閉じ忘れ)は波線でお知らせします。
縦書きプレビュー
エディター右上の「プレビューを横に開く」で、隣のパネルに組み上がりが表示されます。
- 入力するたびに、すぐ反映されます。
- エディターでカーソルを動かすと、プレビューも同じ場所まで追いかけます。
- 行の折り返しや禁則処理は、出力される本とまったく同じ計算です。
[#改ページ] は破線の目印として表示されます。行番号は改ページごとに 1 から数え直します。
行番号を消したいときや、原稿用紙のような罫線を出したいときは、設定「小説 — プレビュー」で選べます。
本にする(HTML・PDF・テキスト)
.jpbook(本のファイル)1 つが本 1 冊になります。アクティビティ バーの「小説」を開き、出力したい本にチェックを入れて、「本の一覧」の右上のボタンで出力します。
- PDF に出力 — 印刷用の PDF。
- HTML に出力 — ページ組版の縦書き HTML。ブラウザーで開け、1 ファイルで完結します。
- テキストに出力 — 章をつないだ青空文庫形式のテキスト。投稿サイトや他のソフトへの受け渡しに。
出力先はフォルダー内の dist です(設定「小説 — プロジェクト」で変更できます)。章と本のファイルはフォルダー分けしても大丈夫で、並びはそのまま出力先に反映されます。
「本の一覧」から直接整えることもできます — 本の行を開くと「本の情報」と章の一覧が現れます。+ で章を追加、ドラッグ(または右クリック)で並べ替え、「本の情報」の各行をクリックすると題名・ヘッダー・ページ番号をその場で編集できます。どの操作も .jpbook の中身をそのまま書き換えるので、手で書いた場合と完全に同じ結果になります。

章のファイル名を VS Code 内で変えたり移動したりすると、参照している .jpbook のパスを更新するか確認が出ます(設定「小説 — 本のファイル」で「常に更新」「更新しない」に変えられます)。VS Code の外で変えた場合は追跡できないので、.jpbook の該当行に赤い波線でお知らせします。
PDF 出力には Google Chrome か Microsoft Edge が必要です(Chromium・Brave でも可)。パソコンに入っていれば自動で見つけます。見つからないときは、代わりに HTML を出力してお知らせしますので、ブラウザーを入れるか、設定「小説 — PDF 出力」で場所を指定してください。
組版の設定
既定の組版は 40字×34行。投稿原稿でよく使われる書式です。字数と行数は設定「小説 — 組版」で変えられます。
設定を開くには:左下の歯車 →「設定」→ 検索欄に jpnov(章ファイルの拡張子と同じ綴り・半角)と入力すると、この拡張機能の設定だけが並びます。プログラムの知識は要りません。

禁則処理
行の頭に句読点が来ない、行の末尾にかぎ括弧の開き(「)が残らない――日本語組版の約束事は、既定で守られます。
| 禁則処理なし |
禁則処理あり(既定) |
 |
 |
行末の句読点は「ぶら下げ」で処理します。中点なども対象にしたい場合は、設定で「厳格」を選べます。
原稿用紙風の表示
罫線と行番号をオンにすると、原稿用紙のような見た目になります。プレビューは「小説 — プレビュー」、出力は「小説 — HTML 出力」で、それぞれ選べます。

罫線を「赤」、行番号をオンにした PDF 出力例
ページ番号とヘッダー
HTML と PDF には、ページ番号とヘッダー(ページ上部の題名)が入ります。これらは本ごとの情報なので、設定画面ではなく .jpbook の冒頭に書きます——同じフォルダーで第一巻と第二巻を作っても、ヘッダーをそれぞれ変えられます。
---
title: 作品名 第一巻
header: 作品名 一
pageNumber: right
pageNumberFormat: {page} / {totalPage}
---
第一章.jpnov
title — 本の題名。「本の一覧」の表示名になります。
header — ヘッダー(ページ上部の中央に入る文字)。書かなければ何も表示されません。
pageNumber — ページ番号の位置。right(常に右下、既定)・left(常に左下)・rightLeft(右下・左下を交互)・leftRight(左下・右下を交互)・none(表示しない)。
pageNumberFormat — ページ番号の書式。{page}(ページ番号)と {totalPage}(総ページ数)が使えます。既定は {page} / {totalPage}。
どれも書かなくてかまいません(書いた分だけ既定から変わります)。編集中はキー名や値の候補が自動で出ます。「本の一覧」パネルの「本の情報」からも、同じ内容をクリックで編集できます。
文章校正
書いている間、原稿を静かに点検します。
- 既定でオン — 半角カナ、壊れた文字(NFD)、ゼロ幅スペース、不正な制御文字。コピー&ペーストで紛れ込む「見えない事故」を防ぎます。
- 投稿前にオン — 段落頭の字下げや地の文の句点、一文の長さ、読点の数、括弧の閉じ忘れなど。設定「小説 — 文章校正」で必要なものだけ選べます。
指摘は波線で表示され、多くは電球アイコンから自動修正できます。まとめて直したいときは「自動修正できる問題をすべて修正」も使えます。下書きの間はオフにしておき、投稿前だけオンにする、という使い方がおすすめです。

登場人物と造語のハイライト
登場人物の名前と、作品だけの造語を登録しておくと、執筆中に目立つ表示になります。日本語は主語が省略されがちなので、「いま誰の場面か」を見失いにくくなります。
- 登場人物は、主語として読める場所(「林は」「神木ちゃんが」など)だけ色が付きます。会話「」の中は染めません。
- 造語は地の文で太字になります。
登録は、設定「小説 — ハイライト」の「項目の追加」から。フォルダーごとに設定できるので、作品ごとに別の人物表を持てます。

よくある質問
Q. 原稿が独自の形式に囲い込まれませんか?
いいえ。.jpnov も .jpbook も中身はただのテキストです。どのエディターでも開けますし、青空文庫の注記はこの拡張機能がなくても意味が通ります。
Q. いま書いている原稿からの引っ越しは大変ですか?
本文を .jpnov ファイルに貼り付けるだけです。Word などの装飾(ルビや太字)は引き継がれないので、注記で付け直してください。
Q. 原稿はどこかに送信されますか?
いいえ。原稿は手元のフォルダーに保存されるだけで、この拡張機能が外部へ送ることはありません。
Q. 電球アイコンのメニューに、✨ マーク付きの「Fix」など見覚えのない項目が出てきます。
それは VS Code 本体に組み込まれている AI 機能(GitHub Copilot)のもので、この拡張機能とは関係ありません。押さない限り、何かが動くことはありません。表示そのものを消したい場合は、設定の検索欄に chat.disableAIFeatures と入力し、出てきた項目にチェックを入れてください。AI 関連の表示がまとめて消えます。
Q. 自分は Copilot を使いたいのですが。
.jpnov・.jpbook では既定で無効にしていますが、設定の github.copilot.enable を上書きすれば戻せます。有効にする場合は自己責任でお願いします。
Q. 見出しや目次ページは作れますか?
いまのところ対応していません。章= 1 ファイルで区切り、.jpbook の並び順がそのまま本の順序になります。
ライセンス
このプロジェクトは MIT ライセンスで公開されています。詳しくは LICENSE をご覧ください。